amazonを利用している人は多いと思う。
私も、プライム会員に加入しており、今では生活に無くてはならない存在となっている。
でもその実態はあまり知られていない。
なぜなら、アマゾンが秘密主義を徹底しているからだ。
発売以来世界中で爆売れしている「アレクサ」ですら、何台出荷したか公表していない。
- マイクロソフト ⇒ ビルゲイツ
- アップル ⇒ スティーブジョブズ
- フェイスブック ⇒ マークザッカーバーグ
では、アマゾンの創業者は誰?
答えられるのは世界経済に敏感な人だけだろう。
そんなアマゾンがどのようにして創業24年でGAFA(アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック)と呼ばれる企業に成長したのか。
また、アマゾンはこれから何を目指すのか。
本書を読めば、アマゾンの全体像が掴めると同時にその夢物語ではない野望に戦慄するであろう。
目次
本書概要
読了時間:片道30分の電車通勤で4日
オススメ度:
『amazon 世界最先端の戦略がわかる』を読むキッカケ
私はベンチャー気質があったり外資をやたら持ち上げたり、そのような気質の人間ではない。
ただ、最近仕事で、日本独自の根回しであったり、前例主義、無意味なハンコ文化、FAXへの絶対的な信頼等に辟易としていた。
話が若干脱線する。
新規取引先との契約に際し、先方(海外の企業)への支払方法がクレジットカードのみだった。そういったケースは初めてだったので、とりあえず財務部に相談することに。
その後、部長と課長と私、財務部長と財務担当が出席する会議が開かれ、支払い方法を打ち合わせ。
フローを作成させられ、その書類に私の部署の取締役までの押印をし、提出することに。
たかだかクレジットカード支払いをするだけでこの工数!!
財務の言いたいこともわかる。クレカ紛失のリスクがあるのもわかる。でも、それを理由に業務に必要な取引をねじ曲げようとするって本末転倒。
一応、私が勤める会社は従業員1,000人以上いるコンテンツ企業である。コンテンツ企業はフットワーク軽く最先端を走らないといけないのでは?と私は思う。
なのにこの体たらく。
そんなことを、いつも漠然と考えていた。
脱線終了
そんなある日、昼休みにたまたま寄った本屋に、これでもか!というぐらい本書が陳列されていた。アマゾンヘビーユーザーの私は考える間もなく購入していた。
なんか私のこのフラストレーションを解消してくれるような気がしていた。
『amazon 世界最先端の戦略がわかる』の感想
いきなりで恐縮だが本書の”おわりに”を引用したい。
我々の生活が劇的に変わる裏側に、テクノロジーの塊である、この企業の存在があることを、もっと多くの人が理解しなければならない。
(略)
アマゾンのことを知らないでいると、いつの間にか隔絶した世界に取り残されているかもしれない。
(略)
アマゾン最大の強みである物流は、リアルとネットの境目を失くし、国と国の境目すらあいまいにしつつある。すべてを押さえた時、立ち向かえる企業は存在せず、国家という枠組みでも捉えきれない存在になるだろう。アマゾンの帝国は国家を超えて、社会を飲み込み、規定する。だから今、われわれはアマゾンを知らねばならないのだ。
引用元:amazon 世界最先端の戦略がわかる 成毛 眞著
この”おわりに”を読まれて、すごく大げさなことが書かれている印象を受けたかもしれない。
しかし、本書を読めばなぜこのような事が書かれているのかクッキリと理解することができる。私は読了後すぐ、嫁にアマゾンの野望を興奮気味に伝えた。
この野望は何も、都市伝説とかそういう類の話ではない。
アマゾンの”すごさ”
- 時価総額7,777億ドル (トヨタ:2,400億ドル)
- 年間4,500億円~1兆円の設備投資を2014年から継続
- アマゾンプライム会員数 米国8,500万人 日本600万人 全世界1憶人
- 取り扱い品目 約3億5000品目
- 自社トラック4,000台保有(ヤマト運輸 3,800台)
- 自社航空機40台まで増予定
- アメリカ人の44%はアマゾンの倉庫から32km以内に住んでいるとされるぐらい倉庫が多い 80か所
- ドローン宅配用に空飛ぶ倉庫を構想しており、特許出願中
- 宅配ドローンが家の様子を撮影し、隠れたニーズをユーザーに提案 特許出願中
- KIVAという独自システムによる倉庫管理
- 生鮮食品の配達も開始(アマゾンフレッシュ)
- 実店舗もオープン(アマゾンゴー)
- アマゾンファッションでゾゾタウンに肉薄中
- アレクサ・プライム特典で、生活に食い込む
- 世界中の売買データの蓄積&分析
- アマゾンが販売していないマーケットプレイスの売買データも蓄積&分析
- マーケットプレイスの売買データを元にした審査不要の融資
- 銀行業への参入も時間の問題
- アマゾンのクラウドサービス(AWS)はCIAも三菱UFJ銀行も利用
- 本業よりも利益を稼ぐAWS(マイクロソフトも追いつけない)
- 自社の海底ケーブルを保有
- 赤字覚悟で同業界に参入し、M&Aを拒否した相手に白旗を上げさせる
一兆円を超える買収もいとわない
日本企業は太刀打ちできるのか
アマゾンは上のような設備をわずか24年で築き上げたのである。
具体的な成り立ちは本書に譲るが、少なくとも日本的なやり方・スピード感でないことは確かである。
日本企業は権限を集中させたがるが、アマゾンはその逆で社長ですら事業部がしていることを知らないことも。
そのため、アマゾンでは事業部の独立色が強く、とてつもないスピードで事業を開拓することが可能となった。
何度も言うが、私は外国の企業をやたら持ち上げる気はさらさら無い。
しかし、FAX大好き、ハンコ大好き、根回し大好き日本企業がアマゾンのような企業と勝負ができるであろうか?
今後日本企業がアマゾンに潰されるとまでは言わないまでも、その影響下に置かれることは明白である。
明治維新とまでは言わないが、日本企業は抜本的に、速やかに体制を見直す必要があると考える。(ハンコ失くせ、電子押印させろ FAXじゃなくてPDFでいいじゃん)
まとめ
アマゾンは24年で今の状況を作り上げた。では今後10年でこの勢いは停滞するだろうか。
いや、むしろ加速すると思う。
本書を読み終え、アマゾンの全貌が見えたところで、平社員として思うことがある。それは来るべき時にそなえ、自分の市場価値を高めておくことだ。
アマゾンがどうとか、日本企業がどうなるとか考えても、そもそも平社員が会社を変えることは不可能なのである。
であれば、日々黙々と研鑽し、世界の構造が変わっていく波に乗るしかないのである。幸い、私は仕事でAIを甘噛み程度にかんでいるので、そこを深めていこうと決心できた。
平社員が本書を読むことにより、アマゾンの全貌を知れることはもちろんのこと、会社員として今後どのように立ち回るべきかを考えさせてくれるきっかけにもなると思う。
これから先、世界は否応なくアマゾンを中心とするGAFAにいい意味でも悪い意味でもかき乱されるだろう。
そうなったときに、家族を守れるのは自分だけしかいないのである。
新聞やニュースを見るのと同じ感覚で、今後はアマゾンの動向に注視していくのも平社員にとっては重要な仕事になるであろう。